PORSCHE News and Reports

チャンネル9スタッフによる「ポルシェ探訪

空冷993の最終進化形。「Gunther Werks/ギュンターワークス」日本本格上陸の全貌

ポルシェファンにとって、1990年代に幕を閉じた「993型」は特別な意味を持つ。それは、半世紀以上にわたり磨き上げられてきた「空冷水平対向6気筒エンジン」を搭載した最後の世代だからだ。その993が持つ、五感を刺激するアナログなドライビングフィールをそのままに、現代の最高峰テクノロジーと最先端素材によって“リマスター”するカリフォルニアの至宝、それが「ギュンターワークス(Gunther Werks)」である。

世界中のコレクターが熱視線を送るこの怪物ブランドの正規販売代理店契約を勝ち取り、日本への導入を果たしたのが、東京タワーの麓・東麻布に拠点を構える「オートダイレクト」。今回は、その出会いから、妥協なきモノづくりの本質、そして最新ラインナップまで、その全貌に迫る。

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993

■ 2026年2月、運命の出会いから始まった電撃渡米

オートダイレクトとギュンターワークスとの物語は、2026年2月、ある「偶然の出会い」から幕を開けた。同社のスタッフがギュンターワークスの車両を目の当たりにした際、その美しさと、凄まじい完成度に言葉を失ったという。これはただのカスタムカーではない、自動車文化の歴史に刻まれるべき芸術品だ。そう確信し、すぐさまカリフォルニアの本社へとコンタクトを開始、CEOとマーケティング責任者との日本での面談にこぎつけた。

奇跡は重なる。時を同じくして、ギュンターワークス側も日本市場への本格進出を目論んでいたのだ。両者のパッションはシンクロし、話はトントン拍子に進む。わずか数日後、今度はオートダイレクトのチームがアメリカ行きの機内にいた。

到着した本社ファクトリーは、塵一つ落ちていない神聖な空間でありながら、格別なホスピタリティで彼らを出迎えた。現地での試乗、そして開発メカニックたちとの濃密な会話。言葉の壁を越え、肌で感じたのは「クルマづくりへの狂気的なまでの情熱」だった。この熱量を日本のエンスージアストに届けたい。その強い想いが実を結び、オートダイレクトは見事に日本の正規ディラー契約を勝ち取ったのである。

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993ヘッドライト

■ 名前の由来に宿る「妥協なきNASAの精神」

アメリカ・カリフォルニアを拠点とする会社でありながら、なぜ「ギュンターワークス(Gunther Werks)」というドイツ名が冠されているのか。そこには、ブランドの根幹をなす深いリスペクトがある。

名前の由来となったのは、かつてNASA(アメリカ航空宇宙局)で活躍したドイツ人エンジニア、ギュンター氏。彼の「いかなるディテールにも妥協を許さないモノづくり」の精神、そして極限の機能美を追求する思考プロセスに深く感銘を受け、ブランド名として採用された。アメリカ生まれでありながら、ドイツ語の「Werks(工場・作品)」を頑なに変えない、それこそが、彼らのモノづくりに対する不退転の決意とプライドの現れなのだ。

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993ワイドフェンダー

■ ポルシェ993を専門とした「究極のビスポーク・レストモッド」

彼らが手がけるのは、最後の空冷モデルである「ポルシェ993」のみ。オリジナルが持つ、あのダイレクトでアナログな操縦感覚を完全にリスペクトしつつ、現代のカーボンファイバー技術や3Dプリンティング、空力理論を融合させてさらなる高みへと進化させている。

ボディパネルのほぼすべては、超軽量・高剛性な最高品質のカーボンファイバーへと置き換えられ、ナローボディからグラマラスなワイドトレッドへと刷新。インテリアからメカニズムに至るまで、オーナーの要望に応じて一から仕立てられる完全なビスポーク(One & Only)であり、世界に二つと同じ個体は存在しない。

【車両の特徴とメカニカルスペック】

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993エンジンルーム

パワーユニット:
オレゴン州の銘門「Rothsport Racing」と共同開発した、4.0リッター空冷水平対向6気筒NAエンジン。最高出力430馬力以上、レッドラインは7,800rpm(タコメーターは9,000rpmまで刻まれる)。

 

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993シフトノブ

トランスミッション:
オリジナルの「Getrag G50」6速MTをベースに、完全にビスポークされたカスタムギヤレシオを組み込み、緻密でメカニカルなシフトフィールを実現。

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993ワイドフェンダー 

シャシー&サスペンション:
トレッドを大幅にワイド化し、コンピュータ制御アクティブ・コイルオーバー・サスペンションを搭載。油圧式のノーズリフトシステムも完備。

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993カーボンインテリア

超軽量設計:
カーボンを多用した結果、車重はわずか1,200kg以下(約2,677lbs)。現代のスーパーカーを凌駕する圧倒的なパワーウェイトレシオを誇る。

 

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993リア画像

■ 羨望のラインナップ:完売御礼、そして伝説の「ターボ」へ

ギュンターワークスのプログラムは、そのすべてが極めて厳格な限定生産である。

クーペモデル(限定25台):
伝説の始まりとなった、クローズドボディの「リマスタード」。すでに世界完売。

スピードスターモデル(限定25台):
フロントスクリーンを短縮し、圧倒的な開放感と美しさを手に入れたオープンモデル。こちらも世界完売。

そして今、世界中が満を持して注目しているのが、最新の「ターボモデル」である。
ポルシェの歴史が誇る、あの「フラットノーズ(スラントノーズ)」に大いなる敬意を払ったエクステリアデザインを採用。4.0リッターツインターボエンジンを搭載し、なんと「オーバー1000馬力(1000PS)」という、空冷の常識を完全に破壊するスペックを引っ提げて登場した。こちらは世界限定26台。手に入れることができるのは、世界で選ばれたわずかな一握りのオーナーのみとなる。

■ 世界でわずか「4つのルート」:日本での熱きプロモーション活動

ギュンターワークスが認めた正規の販売ルートは、地球上にわずか4つしか存在しない。
「アメリカ」「カナダ(北米)」「香港」、そしてオートダイレクトが統括する「日本」である。アジア、そして世界における日本の自動車文化の成熟度が、いかに高く評価されているかの証左と言えるだろう。

オートダイレクトは日本上陸後、精力的にその魅力を伝える活動を行ってきた。
まずは「ルフト東京(LUFT TOKYO)」にて、彫刻的な美しさを放つスピードスターを持ち込み、日本初のお披露目を敢行。その後、日本最大級の自動車の祭典「オートモービルカウンシル(AUTOMOBILE COUNCIL)」へ出展し、目の肥えた日本のコレクターたちを驚愕させた。

さらに、ギュンターワークスのCSO(最高戦略責任者)とCEOが自ら来日し、トレンドの発信地である東京・恵比寿にてポップアップイベントを開催。スペックだけでは分からない、ブランドの哲学や世界観をダイレクトに日本のファンへと植え付けた。

そして先日まで、東麻布のオートダイレクトショールームにて、世界限定25台の超希少車「993 クーペモデル リマスタード バイ ギュンターワークス」の実車を展示。特別なディーラーロードショーを行っていた。

Gunther Werks/ギュンターワークス ポルシェ993インテリア

■ 鍵を受け継ぐ、その未来へ

オートダイレクトが掲げるフィロソフィー、“Pass the Key(その想いを、未来へ手渡す)”。
ギュンターワークスが作り出す車両は、まさにその精神の具現化そのものだ。かつてのポルシェのエンジニアたちが紡いだ空冷の歴史と、前オーナーが注いだ情熱を、現代の最高峰テクノロジーというフィルターを通して、次の世代へ、そしてあなたの未来へと完璧な形で手渡す。

世界4大ルートの一つとして、日本の地に降り立ったギュンターワークス。空冷ポルシェの歴史の「その先」を体感したい方は、ぜひ東京タワーの麓にあるオートダイレクトの門を叩いてみてはいかがだろうか。そこには、数字やスペックだけでは語れない、真の自動車愛の結晶が待っている。

取材協力:オートダイレクト

記事:チャンネル9編集部

 

 

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